桃屋の創作テキスト置き場
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■BGM PROLOGUE 4■
「ルカって、結構強いんだ。守る必要なかったみたいだね」
苦笑しながら言うカイ。
街道からちょっと外れた草原。とゆーか原っぱ。
こんな晴れた日には、ひなたぼっこが最適である。
現に、何人かはここでぶらぶらしている。
「だーかーら、最初から護衛なんかいらないって言ってただろうが」
思わず声を大にして言う。
「でも、あの時なんで野党なんかにやられそうになってたの?」
「え゛、いやその、えっと・・・」
「何よ?」
「・・・・・・・・・・・・・・腹が・・・減ってて・・・・・・・えへ♪」
「・・・・・・・・・」
冷たい一陣の風が、俺達の間を通り抜ける。
「おつかれ」
「あああ!だから!世の中詮索しない方が良いことってあるよな!!」
明らかに眉間をぴくぴくさせてるカイに、半泣きになりながら縋りつく。
「まあいいけどね。でも、私としてはかなりショックなんだよなあ」
「何が?俺が内緒にしてたのがそんなに気に障ったのか!?」
まさか、飯代返せ、とか言わねーよな?
とか不安がよぎるが、あえて考えない事にした。
「いや、さっきのピエロよ」
「――ああ、あれか」
沈んだ様な口調で言うカイ。
そう言えば―
「なあ、アイツが言ってた『過ちには死を』とか何とかって、何なんだ?」
俺の問いに、しかしカイは少し哀しそうな顔をして、
「―――さあ、何だろうね」
そう呟くと、すっと腰を降ろしてしまった。
何とは無しに、それ以上聞いちゃいけない気がして、俺は言葉を続けられなかった。
「それにしても、こーんなめんこいお嬢ちゃんに助けられるとはね・・・あーあ」
座り込んでふてくされたように言い放つカイ。
しかし――――
「ちょいまち、カイ。誰がめんこいお嬢さんだって?」
こめかみの辺りを痙攣させつつ言う俺。
「あ、そっか。可愛いって言われるの嫌なんだよね?ゴメン」
「そーでなくて!」
「じゃ、何?」
明らかに、『何なんだコイツ』とゆー顔で俺を見る。
「だ・か・ら!誰がお嬢ちゃんだ?誰が!!」
渾身の力を込めて怒鳴る俺に、カイはあっさりさっぱりきっぱりと、
「何言ってんの?あんたよ、あ・ん・た♪」
にっっこし笑って俺を指差す。
―ぷち。
「だああああ!!俺は女じゃねええー!!」
「あっはっは。その冗談面白くないよ。ルカ」
平然とした口調で返される。
―ムカムカムカ。
「信じろ!ってゆーか嘘ついたって仕方ないだろ!?」
額に血管浮き上がらせつつ叫ぶ。
「んもー、だからつまんないってば。そーゆーギャグは」
カイは『はいはいはいはい』と言って手をぱたぱたさせる。
もはや俺の顔なんざ見ちゃいない。
ちくしょー!
「カイ、手貸せ!」
「え゛、何すんの?」
半泣きになりながら、カイの腕をやおらがしいっ、と鷲掴みにし、そのまま一気に引き寄せて、
ぺた。
「――え・・?」
カイの目が点になっている。
「な・・・なんで?」
「何でもクソもねーだろ。いいか?俺は男なの」
言いつつ恨めしげにカイを見上げる。(どーせ俺の方が小さいですよ)
俺はカイの手を放す。しかし、凍りついたように彼の手は動かなかった。
・・・・俺の胸の上から。
「・・・・・・・・・うそだあ」
「嘘じゃねーよ。お前今俺の胸触ってるだろが」
触られっぱなしで、多少気恥ずかしいが。
これ以外に納得してもらう手立てを思いつかなかったのだから、致し方ない。
カイは手を放す所か、わさわさわさわさっ、と俺の身体を触りまくる。
そして、しばらくして気が済んだのか、オズオズと俺を見つめ、
「・・・・男装?」
「男」
「・・・・オカマ?」
「だから男だってば」
「手術失敗したとか?」
「何のだよ!?」
「まだ発展途上とか・・」
「男だって言ってんだろ!?いい加減にしろよ!」
さすがに俺もブチ切れ、がなり倒す。
「ひどい・・・」
「え?」
「ルカひどーい!!」
いきなり叫びだしたカイを、唖然と見つめる俺。
「私の夢はどうなるのー!?」
「はあ?夢?」
「ルカと一緒にお風呂入ったり、同じベッドで仲良く寝たりしたかったのにー!」
待て。問題あるだろ、それは。
さめざめと泣くカイを、半ば呆れ顔で眺めつつも、俺はやらにゃいかん事を思い出す。
「カイ、打ちひしがれるのは後にして、とっとと服脱げ」
「・・・・・・は?」
ぽかんとするカイの腕を引っ掴んで、服を剥ぎ取ろうとする。
「ぎゃ!何すんの?ヘンタイ!」
「アホ!傷の手当てしてやるって言ってるんだよ!」
じたばたともがくカイを一喝する。
しかし、カイはさあっ、と顔を赤らめて、大人しくなる所か、激しく逃げようと暴れる。
「バカ!遊んでるんじゃねーんだ!いいからとっとと脱げ!お前なんか襲わねーよ!」
額に怒りマーク浮かべつつ、カイを怒鳴る。
しかし、当のカイは、あまつさえ涙なんぞ浮かべていやいやをする。
「む・・・・無理!ルカが男だってゆー時点で、そんなの無理!」
「ばーか、何そんなに嫌がってんだ?同じ男同士じゃねえか」
「ほら!今の台詞!絶対ルカじゃ無理だって!聞いて!お願い!」
「いいから大人しくしてろって!」
言って、カイの腕を掴もうと手を伸ばす。しかし、身体をひねられ、避けられる。
負けてなるかと手を伸ばし―
むにゅ。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「え゛???」
何今の・・・・・
さあっ、と、血の気が引いていくのが自分でも分かる。
逆に、カイは顔に血液が集中したように真っ赤になってる。
「ま・・・まさか・・お前・・・」
くらくらする頭を抱えて、掠れた声を搾り出す。
俺の右手の下には、俺より高い位置のカイの胸板。
じゃなくて・・・・
胸板じゃなくて・・・・
だらだらと汗が顎を伝う。
「お前・・・女・・・?」
絶望的な顔で問う俺に、涙浮かべて頷くカイ。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「ぎゃ―――――!!!」
俺は絶叫する。
「うわーん、ルカのスケベー!!」
涙ぼろぼろ零しながら、バカバカ殴ってくるカイ。
「し・・仕方ないだろ、知らなかったんだから!」
「だからやだって言ったのに~!!」
「と・・とにかく!!」
俺はどかっ、と地面に座り込む。
顔が真っ赤なのは隠しようも無いので仕方ない。
目線をカイから逸らせつつ、正座して彼、もとい彼女に告げる。
「・・・悪かった。でも、手当てはさせてくれ。じゃないと気が収まらん」
「・・・・」
ぐずっ、と鼻を鳴らして、カイもしゃがみ込む。
「・・・・・・・・・おうよ」
そう言って、背中を向けて地べたにちょこん、と座った。
「―おっし、これでいいだろ」
カイの治療を終えて、一つ大きく伸びをする俺。
「痛いトコ、ないだろ?」
俺の問いに、体中わきわき動かして確認するカイ。
「ん、平気。ありがと」
未だ恥ずかしいのか、許してもらえないのか、こっちを向いてはくれず、背中との会話だが。
「ルカ」
「ん?」
いきなりがばっ、とこちらを振り向いたかと思うと、いきなり、
むに。
カイはしかめっ面のまま、俺の頬をつねる。
―ほお?
ぶに。
奥義。
やられたらやりかえす。
俺も同様にしてカイの頬をつねる。
しばしの沈黙。
どちらとも無く、ふ、と息を付く。
まあ・・・今回は俺が折れてやる!
後ろめたい気持ちも・・・・・無いこともないし・・・
にっ、と意地悪く笑って。
開いてる方の腕で、カイの後ろ頭を引き寄せる。
つねってた方の手も放して、抱き寄せる。
「取り合えず、俺は男。お前は女。な?」
腕の中で、無言でこくこくと頷くブロンドの長髪。
「ま、そーゆー事だ。悪かったな」
何がそーゆー事なのか自分でも分からんが、カイはまたこくこくと頷く。
俺はぱっ、とカイを腕から開放し、立ち上がる。
「んじゃ、行くか」
「行くって、どこに?」
あ、そっか。
「俺は適当に歩くだけ。街道沿いにな」
「行き当たりばったり・・・」
「悪かったな!って、でも俺ら、こうなった以上、連立って旅する理由ないんだよな」
洋服に着いたホコリをぽんぽん叩きつつ言う。
「あ、そっか。そう・・だよね」
言って、一つ息を吐くカイ。
俺は、一瞬戸惑いながらも、カイに手を差し伸べる。
「・・・?」
カイは、訳が分からん、と言った顔で、俺と手を交互にきょときょと見つめる。
・・・・言わせるのかよ、男に。
俺は内心テレと何だかんだとごっちゃになった感情でふてくされつつも、カイから視線を外して小さい声で言う。
「・・・・行くか?一緒に」
これで困った顔されたらどうしよう。
今になって後悔の念が襲ってきた。
――が。
「うん!」
言って、俺の思考回路が理解する前に、カイは手を取った。
「行こう。一緒に」
ああ、そうか。
ここからか。
今日までのにわかコンビじゃなくて。
本当の二人旅は。
「行こう。一緒に」
俺は、カイと同じ台詞を言った。
日も傾きかけている。
そろそろ今日の宿を探さなくちゃならない。
野宿だけはごめんだ。
美味しい飯食って、暖かい風呂入って、ふかふかの布団で。
こいつと、もっと話をしよう。
初めてお互いを知った今日から。
「一緒に」
かみ締めるように言った俺の呟きが聞こえたのか、カイは、眩しく笑った。
「ルカって、結構強いんだ。守る必要なかったみたいだね」
苦笑しながら言うカイ。
街道からちょっと外れた草原。とゆーか原っぱ。
こんな晴れた日には、ひなたぼっこが最適である。
現に、何人かはここでぶらぶらしている。
「だーかーら、最初から護衛なんかいらないって言ってただろうが」
思わず声を大にして言う。
「でも、あの時なんで野党なんかにやられそうになってたの?」
「え゛、いやその、えっと・・・」
「何よ?」
「・・・・・・・・・・・・・・腹が・・・減ってて・・・・・・・えへ♪」
「・・・・・・・・・」
冷たい一陣の風が、俺達の間を通り抜ける。
「おつかれ」
「あああ!だから!世の中詮索しない方が良いことってあるよな!!」
明らかに眉間をぴくぴくさせてるカイに、半泣きになりながら縋りつく。
「まあいいけどね。でも、私としてはかなりショックなんだよなあ」
「何が?俺が内緒にしてたのがそんなに気に障ったのか!?」
まさか、飯代返せ、とか言わねーよな?
とか不安がよぎるが、あえて考えない事にした。
「いや、さっきのピエロよ」
「――ああ、あれか」
沈んだ様な口調で言うカイ。
そう言えば―
「なあ、アイツが言ってた『過ちには死を』とか何とかって、何なんだ?」
俺の問いに、しかしカイは少し哀しそうな顔をして、
「―――さあ、何だろうね」
そう呟くと、すっと腰を降ろしてしまった。
何とは無しに、それ以上聞いちゃいけない気がして、俺は言葉を続けられなかった。
「それにしても、こーんなめんこいお嬢ちゃんに助けられるとはね・・・あーあ」
座り込んでふてくされたように言い放つカイ。
しかし――――
「ちょいまち、カイ。誰がめんこいお嬢さんだって?」
こめかみの辺りを痙攣させつつ言う俺。
「あ、そっか。可愛いって言われるの嫌なんだよね?ゴメン」
「そーでなくて!」
「じゃ、何?」
明らかに、『何なんだコイツ』とゆー顔で俺を見る。
「だ・か・ら!誰がお嬢ちゃんだ?誰が!!」
渾身の力を込めて怒鳴る俺に、カイはあっさりさっぱりきっぱりと、
「何言ってんの?あんたよ、あ・ん・た♪」
にっっこし笑って俺を指差す。
―ぷち。
「だああああ!!俺は女じゃねええー!!」
「あっはっは。その冗談面白くないよ。ルカ」
平然とした口調で返される。
―ムカムカムカ。
「信じろ!ってゆーか嘘ついたって仕方ないだろ!?」
額に血管浮き上がらせつつ叫ぶ。
「んもー、だからつまんないってば。そーゆーギャグは」
カイは『はいはいはいはい』と言って手をぱたぱたさせる。
もはや俺の顔なんざ見ちゃいない。
ちくしょー!
「カイ、手貸せ!」
「え゛、何すんの?」
半泣きになりながら、カイの腕をやおらがしいっ、と鷲掴みにし、そのまま一気に引き寄せて、
ぺた。
「――え・・?」
カイの目が点になっている。
「な・・・なんで?」
「何でもクソもねーだろ。いいか?俺は男なの」
言いつつ恨めしげにカイを見上げる。(どーせ俺の方が小さいですよ)
俺はカイの手を放す。しかし、凍りついたように彼の手は動かなかった。
・・・・俺の胸の上から。
「・・・・・・・・・うそだあ」
「嘘じゃねーよ。お前今俺の胸触ってるだろが」
触られっぱなしで、多少気恥ずかしいが。
これ以外に納得してもらう手立てを思いつかなかったのだから、致し方ない。
カイは手を放す所か、わさわさわさわさっ、と俺の身体を触りまくる。
そして、しばらくして気が済んだのか、オズオズと俺を見つめ、
「・・・・男装?」
「男」
「・・・・オカマ?」
「だから男だってば」
「手術失敗したとか?」
「何のだよ!?」
「まだ発展途上とか・・」
「男だって言ってんだろ!?いい加減にしろよ!」
さすがに俺もブチ切れ、がなり倒す。
「ひどい・・・」
「え?」
「ルカひどーい!!」
いきなり叫びだしたカイを、唖然と見つめる俺。
「私の夢はどうなるのー!?」
「はあ?夢?」
「ルカと一緒にお風呂入ったり、同じベッドで仲良く寝たりしたかったのにー!」
待て。問題あるだろ、それは。
さめざめと泣くカイを、半ば呆れ顔で眺めつつも、俺はやらにゃいかん事を思い出す。
「カイ、打ちひしがれるのは後にして、とっとと服脱げ」
「・・・・・・は?」
ぽかんとするカイの腕を引っ掴んで、服を剥ぎ取ろうとする。
「ぎゃ!何すんの?ヘンタイ!」
「アホ!傷の手当てしてやるって言ってるんだよ!」
じたばたともがくカイを一喝する。
しかし、カイはさあっ、と顔を赤らめて、大人しくなる所か、激しく逃げようと暴れる。
「バカ!遊んでるんじゃねーんだ!いいからとっとと脱げ!お前なんか襲わねーよ!」
額に怒りマーク浮かべつつ、カイを怒鳴る。
しかし、当のカイは、あまつさえ涙なんぞ浮かべていやいやをする。
「む・・・・無理!ルカが男だってゆー時点で、そんなの無理!」
「ばーか、何そんなに嫌がってんだ?同じ男同士じゃねえか」
「ほら!今の台詞!絶対ルカじゃ無理だって!聞いて!お願い!」
「いいから大人しくしてろって!」
言って、カイの腕を掴もうと手を伸ばす。しかし、身体をひねられ、避けられる。
負けてなるかと手を伸ばし―
むにゅ。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「え゛???」
何今の・・・・・
さあっ、と、血の気が引いていくのが自分でも分かる。
逆に、カイは顔に血液が集中したように真っ赤になってる。
「ま・・・まさか・・お前・・・」
くらくらする頭を抱えて、掠れた声を搾り出す。
俺の右手の下には、俺より高い位置のカイの胸板。
じゃなくて・・・・
胸板じゃなくて・・・・
だらだらと汗が顎を伝う。
「お前・・・女・・・?」
絶望的な顔で問う俺に、涙浮かべて頷くカイ。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「ぎゃ―――――!!!」
俺は絶叫する。
「うわーん、ルカのスケベー!!」
涙ぼろぼろ零しながら、バカバカ殴ってくるカイ。
「し・・仕方ないだろ、知らなかったんだから!」
「だからやだって言ったのに~!!」
「と・・とにかく!!」
俺はどかっ、と地面に座り込む。
顔が真っ赤なのは隠しようも無いので仕方ない。
目線をカイから逸らせつつ、正座して彼、もとい彼女に告げる。
「・・・悪かった。でも、手当てはさせてくれ。じゃないと気が収まらん」
「・・・・」
ぐずっ、と鼻を鳴らして、カイもしゃがみ込む。
「・・・・・・・・・おうよ」
そう言って、背中を向けて地べたにちょこん、と座った。
「―おっし、これでいいだろ」
カイの治療を終えて、一つ大きく伸びをする俺。
「痛いトコ、ないだろ?」
俺の問いに、体中わきわき動かして確認するカイ。
「ん、平気。ありがと」
未だ恥ずかしいのか、許してもらえないのか、こっちを向いてはくれず、背中との会話だが。
「ルカ」
「ん?」
いきなりがばっ、とこちらを振り向いたかと思うと、いきなり、
むに。
カイはしかめっ面のまま、俺の頬をつねる。
―ほお?
ぶに。
奥義。
やられたらやりかえす。
俺も同様にしてカイの頬をつねる。
しばしの沈黙。
どちらとも無く、ふ、と息を付く。
まあ・・・今回は俺が折れてやる!
後ろめたい気持ちも・・・・・無いこともないし・・・
にっ、と意地悪く笑って。
開いてる方の腕で、カイの後ろ頭を引き寄せる。
つねってた方の手も放して、抱き寄せる。
「取り合えず、俺は男。お前は女。な?」
腕の中で、無言でこくこくと頷くブロンドの長髪。
「ま、そーゆー事だ。悪かったな」
何がそーゆー事なのか自分でも分からんが、カイはまたこくこくと頷く。
俺はぱっ、とカイを腕から開放し、立ち上がる。
「んじゃ、行くか」
「行くって、どこに?」
あ、そっか。
「俺は適当に歩くだけ。街道沿いにな」
「行き当たりばったり・・・」
「悪かったな!って、でも俺ら、こうなった以上、連立って旅する理由ないんだよな」
洋服に着いたホコリをぽんぽん叩きつつ言う。
「あ、そっか。そう・・だよね」
言って、一つ息を吐くカイ。
俺は、一瞬戸惑いながらも、カイに手を差し伸べる。
「・・・?」
カイは、訳が分からん、と言った顔で、俺と手を交互にきょときょと見つめる。
・・・・言わせるのかよ、男に。
俺は内心テレと何だかんだとごっちゃになった感情でふてくされつつも、カイから視線を外して小さい声で言う。
「・・・・行くか?一緒に」
これで困った顔されたらどうしよう。
今になって後悔の念が襲ってきた。
――が。
「うん!」
言って、俺の思考回路が理解する前に、カイは手を取った。
「行こう。一緒に」
ああ、そうか。
ここからか。
今日までのにわかコンビじゃなくて。
本当の二人旅は。
「行こう。一緒に」
俺は、カイと同じ台詞を言った。
日も傾きかけている。
そろそろ今日の宿を探さなくちゃならない。
野宿だけはごめんだ。
美味しい飯食って、暖かい風呂入って、ふかふかの布団で。
こいつと、もっと話をしよう。
初めてお互いを知った今日から。
「一緒に」
かみ締めるように言った俺の呟きが聞こえたのか、カイは、眩しく笑った。
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