桃屋の創作テキスト置き場
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■こんぺいとう 3 お仕事しましょ 3 ■
ぱらぱらと財布を持って出て行く後輩達。
正午を少し過ぎてしまったが、昼飯を食いに出かけるのだ。
だだっ広い室内に残ったのは、輝愛と千影。
そして社長の紅龍と、例の3馬鹿トリオの武田、山下、橋本である。
千影の手には、みっしり中身の詰まったお重。
後輩トリオは、瞳をキラキラさせて待っている。
千影は苦虫を噛み潰したように眉を寄せ、憮然とした表情で「ありがたく食え」 と言って、手近に居た橋本勇也(はしもとゆうや)にお重を渡した。
「俺も御相伴に与って良いかね?えーっと・・」
紅龍が輝愛を見ながら言う。
「輝愛です。高梨輝愛」
輝愛はすぐさまぱっ、と向き直り、深々とお辞儀をする。
「そう、輝愛ちゃん」
「勿論、是非どうぞ。お味とお腹の保証はしませんけど」
にっこり笑って言う輝愛に、眉尻を下げて微笑む。
「ご安心を。こう見えても舌には自信があるし、内臓は丈夫なんでね」
言いつつ頭一個以上小さな彼女の頭を、ふんわりと撫でる。
・・・気持ち良いかも。
カワハシみたくくしゃ、って撫でる感じじゃなくて、何かこう・・
「お父さんみたい」
思わず飛び出た輝愛の言葉に、後輩トリオは爆笑し、千影は口を開けて彼女を見つめ、当の社長は鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔で硬直していた。
後輩の山下がひーひー笑いながら、
「これでも社長まだ31なんだから、お父さんは可愛そうだよ」
一瞬にして輝愛は青ざめ、
「しゃ!社長!?ええ偉いの?そんなに若いのに?どどどどうしよ」
顔面蒼白になりながら、勢い良く頭を下げ、そのまま固まってしまう。
「すいませんでした~」
もはや声まで震えている。
その様子を見かねてか、紅龍は小さく苦笑し、
「気にしてないから」
と、再び優しく頭を撫でてくれた。
そのふんわりした感触を確かめながら、
・・・やっぱりお父さんみたい。
と、一人心の中だけで微笑んだ。
最も、彼女に父親の記憶は無いから、彼女の想像の父親のイメージに過ぎない。
そこかしこに散らばってるパイプ椅子を集め、脇にある小さめの折りたたみのテーブルを持ってきて、簡易食卓の出来上がり、である。
「うわーすげえ!」
蓋を開けるや否や、この場で輝愛に次いで若年な武田高嗣(たけだたかつぐ)が感嘆符を漏らす。
「ぬわ!本当だ!」
「・・・っかー・・・」
山下と橋本も、目を丸くして思い思いの声を漏らす。
独身一人身の彼らにとって、お重の中身は涙が出るようなラインナップだった。
肉じゃが、きんぴら、だし巻き卵、唐揚げに筑前煮、中華風肉団子等等以下略。
「あ、お箸とお皿・・」
輝愛は持参した割り箸と紙皿を配るが、三人は受け取ったまま身じろぎしないでいる。
「あの・・」
恐る恐る声をかける。
何か苦手なものでも入ってたのかな?
アレルギーがあって食べれないとか?
心配そうな顔で目の前の三人を覗き込む輝愛。
千影は呆れた顔で、
「食わないの?お前ら」
とだけ言って、一番に箸を伸ばした。
「これ、食って良いんですか・・?」
山下が何故か上目遣いで尋ねてくる。
紅龍は苦笑し、千影は半眼で呆れている。
「食べてもらうために作ったんですけど・・」
当の輝愛も、唖然としている。
武田、山下、橋本の三人は、目を見合わせて、律儀にも両手を合わせてから箸を伸ばした。
「お前は行儀の良さに関してはあいつらに負けてるな、ちか」
横からさも可笑しそうに、紅龍が千影に耳打ちする。
「いいの、これはうちのなんだから、な?」
筑前煮を口に放り込んで、空いている左手で娘分の頭をくしゃっ、と撫でた。
社長のとやっぱし撫で方違うなあ・・・
輝愛はだし巻き卵をくわえながら、自らの頭に乗せられた馴れ親しんだ大きな手を見上げる。
・・・でも、こっちの方がやっぱ好きかも。
独り言の様に考えて、笑った。
作りすぎたかな、と思っていた筈の弁当が、あっという間に消えて行く。
・・・男の人って、たくさん食べるんだなあ・・・
きんぴらごぼうを口に突っ込みながら、目の前の旺盛な食欲の男性陣を眺める。
千影も食べる方だが、やはり育ち盛り(?)食べ盛りの大学生年齢の奴らには適わない。
「飢えてるねえ・・・」
千影が呆れながら呟く。
どっちの意味での『飢えてる』なのかは敢えて言わなかったが、両方の意味で取って間違いないだろう。
「そんなに飢えるほど給料低いのかな、うちは」
紅龍が社長の顔で苦笑する。
「いやいやいや、少ないくはないと思いますケド!!」
橋本が慌てて手をぶんぶか振る。
「俺達まだ若いから!腹減るんですよ!」
「悪かったな年寄りで」
言い訳めいた山下の台詞に、千影がわざと低い声で答えて、そのまま彼の皿の上の肉団子を掠め取る。
「年寄りだって腹は減るんだよ、な?紅龍」
「俺を一緒にするな」
淡々とした口調のまま、ジト目で千影を睨む。
「川兄と社長、3歳しか違わないし、社長のが年上じゃないですか」
「そしたら勇也と俺も3歳しか違わないぞ?」
山下のフザケタ台詞に、千影が半眼のまま意見する。橋本勇也(はしもとゆうや)と言うのは、千影の三歳下の後輩で、3馬鹿トリオのトップを切っている、悪がきみたいな奴である。
が、話題に上げられた当の橋本は、いたずら小僧みたいに笑いながら、
「いやいやいや、二十代と三十代には大きな隔たりがありますって」
「まだ二十八だ」
間髪入れずに座った目で断言する千影。
横で紅龍が社長のではなく、千影の先輩の顔で苦笑している。
「ちか、三十路は楽しいぞ~。早くこっちへ堕ちて来い」
「まだ二十代だ!紅龍といっしょくたにするなっつーの」
ニヤニヤしながら千影をからかう紅龍。
学生時代からずっと続く、永遠に千影が勝てない頭の悪い勝負である。
「どっちも大して変わらなくない?」
輝愛の無情と言えば無情な一言に、上の二人は固まり、下の三人は含み笑いをした。
「輝愛ちゃんからしたら、社長も川ちゃん先輩も同じようなもんですよね」
山下が輝愛に笑いかけながら言う。
彼女は自分が発言した台詞にどんな意味があるか理解しきれておらず、山下の言葉ににっこりしたまま頷く。
社長(紅龍)と部長(千影)は、決まり悪そうにお互いを見て、一方は口をへの字に、もう一方は半眼になった。
そして半眼の男が気分悪そうに、後輩の山下を見据えて一言。
「どうでもいいけど、気安く『輝愛ちゃん』なんて呼ぶなよな」
一瞬全員が硬直し、しばらくの後、紅龍だけが『ぷっ』と小さく声を漏らした。
「何だよ・・」
「別に」
普通の人間ならば、千影に睨み付けられたら動けなくなってしまうくらいの鋭い眼光ではあるのだが、やはり先輩の紅龍には効果は無いらしい。
「俺は『ちゃん』で呼ぶけどな。なー輝愛ちゃん♪」
「はい、社長」
千影の目線をするりと交わし、隣の腰掛ける輝愛の肩に、あまつさえ手なんか添えちゃったりしながら。
ちなみに、見た目は大層生真面目に見える社長の最近の専らの趣味は「千影いじり」である。
「それにしても、輝愛ちゃん、料理うまいね」
「そうそう、俺感動しちゃったよ。ご馳走様」
「ちゃん呼びやめれ」
「輝愛ちゃん、年いくつ?」
「輝愛ちゃんって、川兄とどんな関係?妹じゃないよね?」
後輩連中、千影をナチュラルに無視。
紅龍が『まあまあ』といささか大人な意見で千影を影でたしなめる。
「あたしはー・・」
そう、輝愛が口を開きかけた瞬間。
一陣の風が室内に、音を立てて流れ込む。
そして―――
ぱらぱらと財布を持って出て行く後輩達。
正午を少し過ぎてしまったが、昼飯を食いに出かけるのだ。
だだっ広い室内に残ったのは、輝愛と千影。
そして社長の紅龍と、例の3馬鹿トリオの武田、山下、橋本である。
千影の手には、みっしり中身の詰まったお重。
後輩トリオは、瞳をキラキラさせて待っている。
千影は苦虫を噛み潰したように眉を寄せ、憮然とした表情で「ありがたく食え」 と言って、手近に居た橋本勇也(はしもとゆうや)にお重を渡した。
「俺も御相伴に与って良いかね?えーっと・・」
紅龍が輝愛を見ながら言う。
「輝愛です。高梨輝愛」
輝愛はすぐさまぱっ、と向き直り、深々とお辞儀をする。
「そう、輝愛ちゃん」
「勿論、是非どうぞ。お味とお腹の保証はしませんけど」
にっこり笑って言う輝愛に、眉尻を下げて微笑む。
「ご安心を。こう見えても舌には自信があるし、内臓は丈夫なんでね」
言いつつ頭一個以上小さな彼女の頭を、ふんわりと撫でる。
・・・気持ち良いかも。
カワハシみたくくしゃ、って撫でる感じじゃなくて、何かこう・・
「お父さんみたい」
思わず飛び出た輝愛の言葉に、後輩トリオは爆笑し、千影は口を開けて彼女を見つめ、当の社長は鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔で硬直していた。
後輩の山下がひーひー笑いながら、
「これでも社長まだ31なんだから、お父さんは可愛そうだよ」
一瞬にして輝愛は青ざめ、
「しゃ!社長!?ええ偉いの?そんなに若いのに?どどどどうしよ」
顔面蒼白になりながら、勢い良く頭を下げ、そのまま固まってしまう。
「すいませんでした~」
もはや声まで震えている。
その様子を見かねてか、紅龍は小さく苦笑し、
「気にしてないから」
と、再び優しく頭を撫でてくれた。
そのふんわりした感触を確かめながら、
・・・やっぱりお父さんみたい。
と、一人心の中だけで微笑んだ。
最も、彼女に父親の記憶は無いから、彼女の想像の父親のイメージに過ぎない。
そこかしこに散らばってるパイプ椅子を集め、脇にある小さめの折りたたみのテーブルを持ってきて、簡易食卓の出来上がり、である。
「うわーすげえ!」
蓋を開けるや否や、この場で輝愛に次いで若年な武田高嗣(たけだたかつぐ)が感嘆符を漏らす。
「ぬわ!本当だ!」
「・・・っかー・・・」
山下と橋本も、目を丸くして思い思いの声を漏らす。
独身一人身の彼らにとって、お重の中身は涙が出るようなラインナップだった。
肉じゃが、きんぴら、だし巻き卵、唐揚げに筑前煮、中華風肉団子等等以下略。
「あ、お箸とお皿・・」
輝愛は持参した割り箸と紙皿を配るが、三人は受け取ったまま身じろぎしないでいる。
「あの・・」
恐る恐る声をかける。
何か苦手なものでも入ってたのかな?
アレルギーがあって食べれないとか?
心配そうな顔で目の前の三人を覗き込む輝愛。
千影は呆れた顔で、
「食わないの?お前ら」
とだけ言って、一番に箸を伸ばした。
「これ、食って良いんですか・・?」
山下が何故か上目遣いで尋ねてくる。
紅龍は苦笑し、千影は半眼で呆れている。
「食べてもらうために作ったんですけど・・」
当の輝愛も、唖然としている。
武田、山下、橋本の三人は、目を見合わせて、律儀にも両手を合わせてから箸を伸ばした。
「お前は行儀の良さに関してはあいつらに負けてるな、ちか」
横からさも可笑しそうに、紅龍が千影に耳打ちする。
「いいの、これはうちのなんだから、な?」
筑前煮を口に放り込んで、空いている左手で娘分の頭をくしゃっ、と撫でた。
社長のとやっぱし撫で方違うなあ・・・
輝愛はだし巻き卵をくわえながら、自らの頭に乗せられた馴れ親しんだ大きな手を見上げる。
・・・でも、こっちの方がやっぱ好きかも。
独り言の様に考えて、笑った。
作りすぎたかな、と思っていた筈の弁当が、あっという間に消えて行く。
・・・男の人って、たくさん食べるんだなあ・・・
きんぴらごぼうを口に突っ込みながら、目の前の旺盛な食欲の男性陣を眺める。
千影も食べる方だが、やはり育ち盛り(?)食べ盛りの大学生年齢の奴らには適わない。
「飢えてるねえ・・・」
千影が呆れながら呟く。
どっちの意味での『飢えてる』なのかは敢えて言わなかったが、両方の意味で取って間違いないだろう。
「そんなに飢えるほど給料低いのかな、うちは」
紅龍が社長の顔で苦笑する。
「いやいやいや、少ないくはないと思いますケド!!」
橋本が慌てて手をぶんぶか振る。
「俺達まだ若いから!腹減るんですよ!」
「悪かったな年寄りで」
言い訳めいた山下の台詞に、千影がわざと低い声で答えて、そのまま彼の皿の上の肉団子を掠め取る。
「年寄りだって腹は減るんだよ、な?紅龍」
「俺を一緒にするな」
淡々とした口調のまま、ジト目で千影を睨む。
「川兄と社長、3歳しか違わないし、社長のが年上じゃないですか」
「そしたら勇也と俺も3歳しか違わないぞ?」
山下のフザケタ台詞に、千影が半眼のまま意見する。橋本勇也(はしもとゆうや)と言うのは、千影の三歳下の後輩で、3馬鹿トリオのトップを切っている、悪がきみたいな奴である。
が、話題に上げられた当の橋本は、いたずら小僧みたいに笑いながら、
「いやいやいや、二十代と三十代には大きな隔たりがありますって」
「まだ二十八だ」
間髪入れずに座った目で断言する千影。
横で紅龍が社長のではなく、千影の先輩の顔で苦笑している。
「ちか、三十路は楽しいぞ~。早くこっちへ堕ちて来い」
「まだ二十代だ!紅龍といっしょくたにするなっつーの」
ニヤニヤしながら千影をからかう紅龍。
学生時代からずっと続く、永遠に千影が勝てない頭の悪い勝負である。
「どっちも大して変わらなくない?」
輝愛の無情と言えば無情な一言に、上の二人は固まり、下の三人は含み笑いをした。
「輝愛ちゃんからしたら、社長も川ちゃん先輩も同じようなもんですよね」
山下が輝愛に笑いかけながら言う。
彼女は自分が発言した台詞にどんな意味があるか理解しきれておらず、山下の言葉ににっこりしたまま頷く。
社長(紅龍)と部長(千影)は、決まり悪そうにお互いを見て、一方は口をへの字に、もう一方は半眼になった。
そして半眼の男が気分悪そうに、後輩の山下を見据えて一言。
「どうでもいいけど、気安く『輝愛ちゃん』なんて呼ぶなよな」
一瞬全員が硬直し、しばらくの後、紅龍だけが『ぷっ』と小さく声を漏らした。
「何だよ・・」
「別に」
普通の人間ならば、千影に睨み付けられたら動けなくなってしまうくらいの鋭い眼光ではあるのだが、やはり先輩の紅龍には効果は無いらしい。
「俺は『ちゃん』で呼ぶけどな。なー輝愛ちゃん♪」
「はい、社長」
千影の目線をするりと交わし、隣の腰掛ける輝愛の肩に、あまつさえ手なんか添えちゃったりしながら。
ちなみに、見た目は大層生真面目に見える社長の最近の専らの趣味は「千影いじり」である。
「それにしても、輝愛ちゃん、料理うまいね」
「そうそう、俺感動しちゃったよ。ご馳走様」
「ちゃん呼びやめれ」
「輝愛ちゃん、年いくつ?」
「輝愛ちゃんって、川兄とどんな関係?妹じゃないよね?」
後輩連中、千影をナチュラルに無視。
紅龍が『まあまあ』といささか大人な意見で千影を影でたしなめる。
「あたしはー・・」
そう、輝愛が口を開きかけた瞬間。
一陣の風が室内に、音を立てて流れ込む。
そして―――
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