桃屋の創作テキスト置き場
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■innocence ―水― ■
「ま、そーゆー訳で、俺も同行させて貰っちゃうから。宜しく」
言ってにっこりと笑う。
屈託の無い笑みである。
ケイニード・ヴォルフェウス。
自らを、『癸』と名乗った男。
◇
あたし達三人は、取り敢えず車座になって座れる場所を確保し、昼間と言えども少々肌寒い山中で、あたしが魔術で起した焚き火を囲みながら座っていた。
「ふんふん、白銀の巫女の彼女が、ローディアちゃん、で」
つり目を細めて笑いながら、座っているにも関わらず、あたしの肩や腰に執拗に腕を回してくるケイン。
最初のうちは毎回振り解いていたのだが、それすらも面倒臭くなる程しつこいので、最早放置したまま。あたしは成されるがままである。
ケインは指さし確認の如く、あたしを指差して名前を確認し、次にシリウスに目線を向けて、
「で、そっちの何か異様に怖い目付きで俺を睨んでるのが、白銀って訳ね」
と言って、にやりと笑いながら、あたしにべったりとくっ付いた。
「シリウスだ」
つっけんどんにシリウスが、まともにケインの目を見ずに言う。
ケインの言う通り、何やら機嫌が悪そうである。
「怖ええ怖ええ」
ケインはまた目を細めてシリウスを笑いながら、こちらに向かっていきなり身体ごと向き直り、
「なーローディアちゃん、あんな辛気臭いのと一緒に居たらカビ生えちゃうよ?可愛いんだし、すげー俺好みだし、どう?俺の事好きになる気無い?」
と、一気に捲し立てつつ、しかもどんどん顔が近付いて来て。
「ちょ!待ちなさいケイン!」
「ん~、怒った顔も美人じゃ~ん、そそるかも~」
ずりずりと下がって行くあたしに、どんどん近寄ってくるケイン。
「待ってってば!ケイン、いい加減に・・」
「いい加減にしろ」
あたしが皆まで言い終わるより早く、重低音で一喝する声。
今まで聞いた事の無いその声に、あたしは驚いて動きを止め、シリウスを見る。
彼は別段何をするでもなく、ただ手を組んだまま座っているだけだった。
しかし、色素の薄いその瞳が、明らかに怒りを含んでいた。
その彼の気迫に気圧されて、しばらくケインも大人しくなるだろうと思ったのだが、
「何であんたに指図されなきゃいけない訳?これは俺と彼女の問題でしょ?君関係ないでしょ?折角本気で口説こうと思ってるんだから、邪魔しないでくれる?」
そう言うと、言うが早いか、あたしの頬に軽くちゅっ、とキスを落とした。
「あ」
「そーれーとーもー」
あまりに素早く、しかも自然にやられたので、怒るとかびっくりするを通り越して、「あ」の一言で終わってしまった。
ケインがシリウスに続ける。
「それとも、あんたはローディアちゃんの恋人かなんかな訳?」
「それは・・」
言い寄られて口ごもるシリウス。
ケインはざまあみろとばかりに、
「だったら、関係ないでしょ?なあ、ローディアちゃん♪」
と、こっちを見つめてまた、笑った。
・・・・・疲れる奴らである。
と、風が皆無だった筈なのに、中央にくべられた焚き火が、一瞬、揺らいだ。
「――何?」
「へえ、ローディアちゃんもう気付いたんだ。さすがだね」
瞬時にあたしとシリウスに緊張が走る中、ケインだけが未だに飄々としている。
「昨日の奴らの仲間かしら」
「・・?良く分かんないけど、俺の追っ手だと思うよ」
言うなりケインは立ち上がり、焚き火の炎を踏み消す。
「面倒に巻き込んじゃったみたいでごめんね。でも安心して。すぐ片付けちゃうから」
そこまで言うと、背中越しに振り返って、
「大丈夫」
そうきっぱりと言い放って、すぐに、また前を向いた。
「ローディア」
呼ばれてあたしは急いでシリウスの元まで走り、戦闘態勢に入る。
「・・・・戦う気?」
「あったりまえでしょ。ケイン一人にやらせる気?」
「・・ま、そー言うとは思ってたけど。釈然とはしないけどね」
不満そうなシリウスと小声で会話している隙に、ケインは小さく印を結び、放つ。
「氷槍(アイス・ランス)!」
印の発動と共に、数十本の氷の槍が現れ、ケインが手を広げた半径全体に向かって飛ぶ。
先手必勝、先制攻撃である。
気配を殺して潜む敵に、「お前達の存在は分かっているよ」と言う合図でもある。
次の瞬間、今まで殺していたのだろう気配を解き放ち、一気に飛び出してくる面々、その数おおよそ1ダース。
その数を確認し、ケインは実につまらなそうに、
「なんだ、こんだけ?甘く見られたモンだね、俺も」
言うなり、敵陣の真っ只中に向かって走り出した。
「シリウス、援護するわよ!」
「―了解」
言うが早いか、あたし達も走り出す。
「一人あたり四人でOKね!」
「あーらら、ローディアちゃん、見てるだけでいいのに。危ないよ」
敵と刃を交えながら、鍔迫り合いの最中にも呑気な口調で答える。
「見てるだけは性に合わなくってね!黒化塵(デスド・ヴァッシュ)!」
あたしの放った術で、一人目。
「やっぱり優しいんだなあ、ローディアちゃん、でも危ないから退いてていいよ!っと!」
何とも緊張感の無い、しかし切れ味と太刀捌きは絶妙なケインの逆袈裟で二人目。
「水崩陣(アクア・ブラス)!」
ちょっと離れた所で、中範囲有効射程の術を解き放つシリウス。
ひーの、ふーの、これで五人目。
「!!」
印を結ぶ最中に背後に迫った一人に、ケインの援護の横薙ぎ一閃。
六人目。
よっし、これで半分!と思った瞬間、
ひゃうっ!!
いかんせん、言葉では形容し難い音が空を斬る。
「ぐっ!」
あたしは右腕を押さえてたたらを踏む。
「ローディア!」
「ローディアちゃん!」
同時にシリウスとケインが叫ぶ。
「――大丈夫、このくらい・・」
言い掛けて膝から崩れ落ちる。
がくがくと身体が震えて、嫌な汗が全身から噴き出すのがはっきりと分かる。
あたしは未だ血が噴出している右腕に突き刺さった針を見つけて、一瞬頭の中が真っ白になる。
――毒針だ――
一瞬気を抜いたのがいけなかったのだ。
あたしは茂みに隠れていた一人に気付かず、まんまとそいつの射程内に入ってしまったのだ。
「くそっ・・」
呻いて身体を起そうにも、力が入らずただ、もがくだけである。
「貴様らあ!!」
ケインが物凄い声で叫び、その四肢の速度が増す。
シリウスが離れた場所で囲まれ、動くに動けないでいる。
「くそ!」
二人の焦った気配が伝わってくる。
あたしが悪いのだ。
あたしが戦力にならなくbなってしまったから、二人に負担が・・・
ああ、意識が・・
もう駄目かも知れない・・
視界が揺らぐ。
意識が遠のく。
全てが消える。
ごめん、婆様。
婆様―――
あたしはそこから、真っ白な世界に落ちて行った。
二人の、あたしを呼ぶ声が、妙に耳に残ったまま。
◇
「ローディアちゃん!」
まず目に飛び込んで来たのは、ケインのどアップだった。
「・・・・・・・・・うん・・・・・・・・」
状況が飲み込めないまま、あたしは何とも間抜けな返事を返す。
どうやらベッドに横たえられているらしかった。
起き上がるのは億劫で、そのまま視線だけで辺りを窺って見る。
どこかの宿の一室の様だ。
あたしが寝ているベッドの他に、ベッドが一つ。
二つのベッドの間に、小さなナイトテーブルが一つ。
少し離れた所に、小さめのデスクと椅子がワンセット。
そのデスクの上に、ランプが一つ。
それだけしか無い、ごく有り触れた宿屋。
やっと意識が覚醒して来て、あの時の事に思い当たる。
無言で右腕に触れると、包帯が綺麗に巻かれていた。
「二人ともごめん。足、引っ張っちゃった」
ようやく上体だけをベッドの上に起こし、二人に向かって頭を下げた。
「ローディアちゃんは謝る事無いよ。俺が裁き切れなかったのが悪いんだ。申し訳ない」
そう言うと、ケインは床に手をついて謝った。
例の飄々とした態度では無い、本気の声で。
「これ、誰が?」
あたしは右腕の包帯を見つめながら言った。
ケインは顔を上げると、いささか決まりが悪そうに、
「俺が」
とだけ小さく答えた。
傷口も大方塞がっているし、何より、体内に残っている筈の毒気も抜け切っている様だった。
「かなり高度な回復呪文ね。使えるの?ケイン」
「まあ、一応白魔術は一通り。精霊魔術も、一通り」
あたしの体調がそこそこ良いのを知ってか、二人の顔に安堵の表情が浮かぶ。
「この際全部言っちゃうけど。黒魔術はそれ程得意じゃない。まあ、ストックはいくつかあるけどね。一番得意なのは白と精霊。ちなみに精霊魔術でのステイタスは」
「水、だろ?」
ケインの言葉を引き継いだのは、シリウスだった。
ケインはいささか面白く無い、と言った表情を作り、肩をすくめるポーズをして、
「ご名答」
と言って、唇を吊り上げた。
「見れば分かる。僕のステイタスも水だ」
「げ、お揃いかよ、やだなぁ」
あからさまに嫌そうな顔してリアクションするケインに、片方の眉毛を上げて苦笑するシリウス。
「僕だってごめんだけどね」
そう言うと、二人は可笑しそうに小さく息を吹き出した。
「なんか、あたしがしばらく眠ってる間に、仲良くなったみたいね」
二人を見比べてそう言うと、二人は口を揃えて一気に、
『そんな事はない!』
と、見事にハモってくれたのだった。
「ま、そーゆー訳で、俺も同行させて貰っちゃうから。宜しく」
言ってにっこりと笑う。
屈託の無い笑みである。
ケイニード・ヴォルフェウス。
自らを、『癸』と名乗った男。
◇
あたし達三人は、取り敢えず車座になって座れる場所を確保し、昼間と言えども少々肌寒い山中で、あたしが魔術で起した焚き火を囲みながら座っていた。
「ふんふん、白銀の巫女の彼女が、ローディアちゃん、で」
つり目を細めて笑いながら、座っているにも関わらず、あたしの肩や腰に執拗に腕を回してくるケイン。
最初のうちは毎回振り解いていたのだが、それすらも面倒臭くなる程しつこいので、最早放置したまま。あたしは成されるがままである。
ケインは指さし確認の如く、あたしを指差して名前を確認し、次にシリウスに目線を向けて、
「で、そっちの何か異様に怖い目付きで俺を睨んでるのが、白銀って訳ね」
と言って、にやりと笑いながら、あたしにべったりとくっ付いた。
「シリウスだ」
つっけんどんにシリウスが、まともにケインの目を見ずに言う。
ケインの言う通り、何やら機嫌が悪そうである。
「怖ええ怖ええ」
ケインはまた目を細めてシリウスを笑いながら、こちらに向かっていきなり身体ごと向き直り、
「なーローディアちゃん、あんな辛気臭いのと一緒に居たらカビ生えちゃうよ?可愛いんだし、すげー俺好みだし、どう?俺の事好きになる気無い?」
と、一気に捲し立てつつ、しかもどんどん顔が近付いて来て。
「ちょ!待ちなさいケイン!」
「ん~、怒った顔も美人じゃ~ん、そそるかも~」
ずりずりと下がって行くあたしに、どんどん近寄ってくるケイン。
「待ってってば!ケイン、いい加減に・・」
「いい加減にしろ」
あたしが皆まで言い終わるより早く、重低音で一喝する声。
今まで聞いた事の無いその声に、あたしは驚いて動きを止め、シリウスを見る。
彼は別段何をするでもなく、ただ手を組んだまま座っているだけだった。
しかし、色素の薄いその瞳が、明らかに怒りを含んでいた。
その彼の気迫に気圧されて、しばらくケインも大人しくなるだろうと思ったのだが、
「何であんたに指図されなきゃいけない訳?これは俺と彼女の問題でしょ?君関係ないでしょ?折角本気で口説こうと思ってるんだから、邪魔しないでくれる?」
そう言うと、言うが早いか、あたしの頬に軽くちゅっ、とキスを落とした。
「あ」
「そーれーとーもー」
あまりに素早く、しかも自然にやられたので、怒るとかびっくりするを通り越して、「あ」の一言で終わってしまった。
ケインがシリウスに続ける。
「それとも、あんたはローディアちゃんの恋人かなんかな訳?」
「それは・・」
言い寄られて口ごもるシリウス。
ケインはざまあみろとばかりに、
「だったら、関係ないでしょ?なあ、ローディアちゃん♪」
と、こっちを見つめてまた、笑った。
・・・・・疲れる奴らである。
と、風が皆無だった筈なのに、中央にくべられた焚き火が、一瞬、揺らいだ。
「――何?」
「へえ、ローディアちゃんもう気付いたんだ。さすがだね」
瞬時にあたしとシリウスに緊張が走る中、ケインだけが未だに飄々としている。
「昨日の奴らの仲間かしら」
「・・?良く分かんないけど、俺の追っ手だと思うよ」
言うなりケインは立ち上がり、焚き火の炎を踏み消す。
「面倒に巻き込んじゃったみたいでごめんね。でも安心して。すぐ片付けちゃうから」
そこまで言うと、背中越しに振り返って、
「大丈夫」
そうきっぱりと言い放って、すぐに、また前を向いた。
「ローディア」
呼ばれてあたしは急いでシリウスの元まで走り、戦闘態勢に入る。
「・・・・戦う気?」
「あったりまえでしょ。ケイン一人にやらせる気?」
「・・ま、そー言うとは思ってたけど。釈然とはしないけどね」
不満そうなシリウスと小声で会話している隙に、ケインは小さく印を結び、放つ。
「氷槍(アイス・ランス)!」
印の発動と共に、数十本の氷の槍が現れ、ケインが手を広げた半径全体に向かって飛ぶ。
先手必勝、先制攻撃である。
気配を殺して潜む敵に、「お前達の存在は分かっているよ」と言う合図でもある。
次の瞬間、今まで殺していたのだろう気配を解き放ち、一気に飛び出してくる面々、その数おおよそ1ダース。
その数を確認し、ケインは実につまらなそうに、
「なんだ、こんだけ?甘く見られたモンだね、俺も」
言うなり、敵陣の真っ只中に向かって走り出した。
「シリウス、援護するわよ!」
「―了解」
言うが早いか、あたし達も走り出す。
「一人あたり四人でOKね!」
「あーらら、ローディアちゃん、見てるだけでいいのに。危ないよ」
敵と刃を交えながら、鍔迫り合いの最中にも呑気な口調で答える。
「見てるだけは性に合わなくってね!黒化塵(デスド・ヴァッシュ)!」
あたしの放った術で、一人目。
「やっぱり優しいんだなあ、ローディアちゃん、でも危ないから退いてていいよ!っと!」
何とも緊張感の無い、しかし切れ味と太刀捌きは絶妙なケインの逆袈裟で二人目。
「水崩陣(アクア・ブラス)!」
ちょっと離れた所で、中範囲有効射程の術を解き放つシリウス。
ひーの、ふーの、これで五人目。
「!!」
印を結ぶ最中に背後に迫った一人に、ケインの援護の横薙ぎ一閃。
六人目。
よっし、これで半分!と思った瞬間、
ひゃうっ!!
いかんせん、言葉では形容し難い音が空を斬る。
「ぐっ!」
あたしは右腕を押さえてたたらを踏む。
「ローディア!」
「ローディアちゃん!」
同時にシリウスとケインが叫ぶ。
「――大丈夫、このくらい・・」
言い掛けて膝から崩れ落ちる。
がくがくと身体が震えて、嫌な汗が全身から噴き出すのがはっきりと分かる。
あたしは未だ血が噴出している右腕に突き刺さった針を見つけて、一瞬頭の中が真っ白になる。
――毒針だ――
一瞬気を抜いたのがいけなかったのだ。
あたしは茂みに隠れていた一人に気付かず、まんまとそいつの射程内に入ってしまったのだ。
「くそっ・・」
呻いて身体を起そうにも、力が入らずただ、もがくだけである。
「貴様らあ!!」
ケインが物凄い声で叫び、その四肢の速度が増す。
シリウスが離れた場所で囲まれ、動くに動けないでいる。
「くそ!」
二人の焦った気配が伝わってくる。
あたしが悪いのだ。
あたしが戦力にならなくbなってしまったから、二人に負担が・・・
ああ、意識が・・
もう駄目かも知れない・・
視界が揺らぐ。
意識が遠のく。
全てが消える。
ごめん、婆様。
婆様―――
あたしはそこから、真っ白な世界に落ちて行った。
二人の、あたしを呼ぶ声が、妙に耳に残ったまま。
◇
「ローディアちゃん!」
まず目に飛び込んで来たのは、ケインのどアップだった。
「・・・・・・・・・うん・・・・・・・・」
状況が飲み込めないまま、あたしは何とも間抜けな返事を返す。
どうやらベッドに横たえられているらしかった。
起き上がるのは億劫で、そのまま視線だけで辺りを窺って見る。
どこかの宿の一室の様だ。
あたしが寝ているベッドの他に、ベッドが一つ。
二つのベッドの間に、小さなナイトテーブルが一つ。
少し離れた所に、小さめのデスクと椅子がワンセット。
そのデスクの上に、ランプが一つ。
それだけしか無い、ごく有り触れた宿屋。
やっと意識が覚醒して来て、あの時の事に思い当たる。
無言で右腕に触れると、包帯が綺麗に巻かれていた。
「二人ともごめん。足、引っ張っちゃった」
ようやく上体だけをベッドの上に起こし、二人に向かって頭を下げた。
「ローディアちゃんは謝る事無いよ。俺が裁き切れなかったのが悪いんだ。申し訳ない」
そう言うと、ケインは床に手をついて謝った。
例の飄々とした態度では無い、本気の声で。
「これ、誰が?」
あたしは右腕の包帯を見つめながら言った。
ケインは顔を上げると、いささか決まりが悪そうに、
「俺が」
とだけ小さく答えた。
傷口も大方塞がっているし、何より、体内に残っている筈の毒気も抜け切っている様だった。
「かなり高度な回復呪文ね。使えるの?ケイン」
「まあ、一応白魔術は一通り。精霊魔術も、一通り」
あたしの体調がそこそこ良いのを知ってか、二人の顔に安堵の表情が浮かぶ。
「この際全部言っちゃうけど。黒魔術はそれ程得意じゃない。まあ、ストックはいくつかあるけどね。一番得意なのは白と精霊。ちなみに精霊魔術でのステイタスは」
「水、だろ?」
ケインの言葉を引き継いだのは、シリウスだった。
ケインはいささか面白く無い、と言った表情を作り、肩をすくめるポーズをして、
「ご名答」
と言って、唇を吊り上げた。
「見れば分かる。僕のステイタスも水だ」
「げ、お揃いかよ、やだなぁ」
あからさまに嫌そうな顔してリアクションするケインに、片方の眉毛を上げて苦笑するシリウス。
「僕だってごめんだけどね」
そう言うと、二人は可笑しそうに小さく息を吹き出した。
「なんか、あたしがしばらく眠ってる間に、仲良くなったみたいね」
二人を見比べてそう言うと、二人は口を揃えて一気に、
『そんな事はない!』
と、見事にハモってくれたのだった。
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